
診察室からでると、待合室には、2名の飼い主さんが診察の順番をまっていらっし
ゃいました。
髪の毛を振り乱し、血がしたたる腕と、戦いの間に抜け落ちたくろじの毛を身に
まとい、キャリーバックに入って、一安心しているくろじをつれ、椅子に腰掛、呆然と
している下僕。
年配の女性の方が「噛まれたんですか?随分大きな猫ですねぇ」と話しかけてきま
した。
「はぁ〜。ダイエットを勧められました」と下僕は、受け答えながら、その女性の表情
の中に、あんな激しい雄叫びをあげる猫はどんな猫なんだろう?という好奇の視線
を感じ、身を縮ませるような思いでした。
横のもう一人の女性には、しらけた表情で一瞥されました。
「あの、診療室での悲痛な叫びや、何度も響き渡らせた雄叫びは、この人たちに
は、いったいどのように聞こえていたんだろう・・・?」
「皆さん、本当のくろじは、とてもいい子で、すっごくかわいいんです。そりゃ、たまに
この様に本気で噛み付いたりしますが、滅多にないんですよぉ。」と、心の中で叫び
つつ、
「あ〜、今回も、またにくろじのかわいさは、人に伝わらなかった。凶暴な猫と誤解
されてしまった・・・。」と落ち込む下僕でした。
治療のかいあって、自宅に戻ってきてからのくろじは、オシッコも少しできるようになり、
少し病状は落ち着きました。
翌日、病院へ行き、注射を1本打って貰ったのですが、診療室に入って、キャリー
バックの中で、獣医さんの声を聞いたくろじのその時の顔は、今でも忘れられません。
「また、おまえか!」と、親の敵をだとでも言うように、「キッ」と声の主を睨みつけ、
キャリーバックの中で少しでもその声から遠くに離れようとしていました。
キャリーバックからくろじを出そうとしても、渾身の力で抵抗するので、キャリーバックを
逆さまにしてくろじを出そうとしたのですが、逆さまになったキャリーバックの出口から
出たのは、くろじの手先だけでした。
精一杯に手を伸ばして、重力に逆らって踏ん張り、体をキャリーバックから出そうとは
しませんでした。
その姿は、キャリーバックごと逆立ちをしているようで、ちょっと笑えました。
でも、昨日の恐怖がどれだけのものだったのかと考えさせられてしまいました。
今回は、昨日の件もあり、その姿を見た獣医さんは、手早く終わらせたほうがよいと
理解してくださり、腫れ上がった腕で押さえられているくろじにすばやく注射を打ち、
「早く、キャリーバックに戻してあげて下さい」といってくれました。
1週間、薬を飲み続け、キャットフードも獣医師お勧めのとてつもなく、高いお値段
のものに換え、くろじの病状は落ち着き、病院での心の痛手からも立ち直ったようで
す。
下僕は、今回の件で勉強し、お風呂や病院などで暴れるのを防ぐという猫用の
拘束ネットをペット雑誌で探して購入しました。
今度は、このネットに包んでから病院に行く事にします。
←くろじ病院へ行く Part3 へ
|
TOPへ△
|
|